小説版2巻

「残念ですが、わかりませんでした」
「うんざりだぜ」

--21ページ目、ハンフリースピークのクライヴ宅にて神殿の手がかりが見つからなかったことに対して
(ジェットのうんざりカウントその5)



 それにしてもクライヴの記憶は、本当にあやふやになっているようね。なにしろ十年前は、まだ渡り鳥ではなかった クライヴと一般人の奥さんが、たった二人で荒野を旅して神殿を訪れることが可能だったということも、 そしてそれが普通だった時代がいつどうやって終わったのかも、夢のことのように忘れてしまっているのだから。

--24ページ目、クライヴがフォーチュンギアの事を忘れていたことに関して
(この小説では地の文はベアトリーチェなので、想い出を持って行った当人がこんなこと言っちゃうのが面白い)



「クソッ、いくらバスカーの柵から逃げ出した俺でも、世界と命をもてあそぶような非道を見逃せるほど人間は 腐っちゃいねぇぞ!俺が求める自由は、ヤツの自由とは絶対に違う!俺はそれを、ヤツに突きつけてやる! そのためにも、もうこれ以上ヤツの勝手は許さないからな!」

--33ページ目、フォーチュンギアにて守護獣の命を吸ったジェイナスに怒るギャロウズ



 眉間の縦皺を深くしながら、ジェットがボソリと呟く。
「何が幸運だ。まったく、うんざりだぜ」

--34ページ目、旅の資金が尽きたと言うクライヴに対して
(ジェットのうんざりカウントその6)



 ジェットは何も言わなかったけれど、眉間の縦皺をこれ以上ないというぐらいに深め、まるで苦虫を噛みつぶしたような顔をして、 全身でいつもの言葉を表していた。そう、つまり、『うんざりだぜ』。

--40ページ目、ハンフリースピークにて運命の箱舟教団の話をきいてジェットの反応
(口に出してないのでカウントなし)



「違う。問題はそこじゃない。お告げが本当だろうが嘘だろうが、クライヴやジェットの言う通り、 俺たちに選択の余地はない。俺たちは一文なしで、ウィンスレット家の貯えを、ものすごい勢いで 食いつぶしているんだからな。だからといって妙な条件で仕事を受けて、万一俺達が連中の前から 姿を消したら、依頼主はどうする?ここだ!ここに取り立てに来るんだ!ここに家があり、 家族がいるから、クライヴは信用されてるんだ!キャスリンさんが前金の返済を迫られたらどうする! 真面目な彼女は、家を売ってでも夫のドジを償おうとするだろうさ。そしたらケイトリンちゃんともども、 荒野に迷う事になるんだぞ!そんなことにならないよう、焦って仕事に飛び出す前に、依頼主と 詰めなきゃならない部分が沢山ある」
僕の家族への心づかい、痛み入ります

--44ページ目、運命の箱舟教団の依頼を受ける前に
(不純な動機であるが割ともっともなギャロウズの言い分が好き。この後前金は返さない証文を取り付ける)



「うんざりだぜ」
 一番後ろを歩くジェットは、眉間の縦皺を深くしながら、ヴァージニアたちの後を追って外つ国の遺産へと足を踏み入れた。

--49ページ目、外つ国の遺産にて
(ジェットのうんざりカウントその7)



 つっかえ棒を見て、「うんざりだぜ」とジェットは呟き、ヴァージニアは笑いころげる。

--50ページ目、外つ国の遺産にて
(ジェットのうんざりカウントその8)



 そこにシュレディンガー一家の妨害というか、イタズラというか、嫌がらせが加わるのだから、ジェット でなくとも「うんざり」な気分がましていく。

--51ページ目、外つ国の遺産にて
(マヤチームに先行されて苦労する様子)



「単純な推理ですわ、ヴァージニアさん。この名探偵マヤの灰色の脳細胞をごまかすことなど、誰にもできませんでしてよ

--52ページ目、外つ国の遺産にて
(ポアロのようなことを言う名探偵マヤ)



 ヴァージニアの返答に、ジェットのいつもの「うんざりだぜ」が、かき消される。

--75ページ目、ディスティニーアークにて
(ラミアムさんの話で、ジェットうんざりカウントその9)



 そう、ブーツヒルは彼女の故郷の名前。予想外の巡り合わせに大はしゃぎして、いろいろと思い出話を語り続ける ヴァージニアの後ろで、ジェットが「うんざりだぜ」と呟いた。

--83ページ目、ディスティニーアークにて
(ジェットのうんざりカウントその10。遭難したラミアムがブーツヒルで介抱された事を知り、再会を喜んでいる)



「こんなところでグズグズしてるなんてのは、もううんざりなんだ」

--84ページ目、ディスティニーアークにて
(ジェットのうんざりカウントその11。今度はディスティニーアークの図書館ではしゃぐクライヴにうんざりさせられる不憫なジェット君)



 未練がましく、そそくさと図書室へ引き返すクライヴの背中に、ジェットが眉間の縦皺を深くしながら、いつもの一言。
「うんざりだぜ」

--85ページ目、ディスティニーアークにて
(ジェットのうんざりカウントその12。
 無限連環永久機関に行く準備が終わるまでもうちょっとと、さらに図書館に行かれたら誰でも言いたくなる)



「うんざりだぜ」
 ヴァージニアは、それを聞き流して、話を続けた。

--90ページ目、ヴァージニアからウェルナーの事を聞かれて
(ジェットのうんざりカウントその13)



「嫌な想い出もか!腹立たしい想い出もか!悲しい想い出もか!想い出すたびに、もう手の出ない過去のことにげっそりしたり、 腹を立てたり!泣いたりするってのか!ったく、うんざりだぜ!」

--92ページ目、上記の続きから話がこじれて
(ジェットのうんざりカウントその14)



「昨日の残りか」
翌朝のカレーといったら、うまいものの代名詞だろうが

--93ページ目、遺跡へ向かう旅の道すがら
(実際は残り物のカレーはちゃんと保存しないとお腹壊すと言う…)



「うんざりだぜ。それが今何の役に立つ」

--95ページ目、無限連環永久機関に到着前に復習をするといわれて
(ジェットのうんざりカウントその15)



「うんざりだぜ」
 しばらくの静寂の後、ジェットが小さく呟いた。

--98ページ目、無限連環永久機関でギャロウズの策をきいて
(ジェットのうんざりカウントその16)



 ヴァージニアの声が、ジェットの「うんざりだぜ」をかき消してしまう。 たとえクライヴの耳に入ったとしても、彼は気にしなかったと思うけれども。

--108ページ目、無限連環永久機関でアースガルズを時空のかなたに飛ばしたあと、 数泊して遺跡を調べたいというクライヴに対して
(ジェットのうんざりカウントその17)



なあ!俺の親父とお袋は、いつどうやって消えちまったんだ?ガキのころは、確かにいたんだぞ!
 そしてバスカーの大男は、仁王立ちのまま両手を握り締め、天に向かって魔獣のように叫びながら頬を濡らした。

--119ページ目、この世界から想い出が失われているというクライヴの仮説を聞いてあることに気付くギャロウズ
(ゲームでは特に触れられることのなかったギャロウズ・シェーンの両親が出てきている)



「怒ったりムッとしたりした想い出を持つのも、いいことだと思う。次は笑おうよ。 そしたら大事なときに、きっと泣ける。怒ったり笑ったり泣いたりできれば、きっと人生楽しめる。 それってきっと、生きてるだけより絶対いいよ。」
「お前、父親の言葉を否定するのか?」
「否定はしてない。生きてるのはいいことだけど、泣いたり笑ったりした方がもっといいって思ってるだけ」
「何がいいのかさっぱりだ。それに、笑うことなんか何もない」

--121ページ目、泣き疲れたギャロウズを見て語りあうジェットとヴァージニア



 ヴァージニアが立ち去ると、ジェットは片手でモモ缶を振りながら、眉間に縦皺を寄せながら、 小さく「うんざりだぜ」と呟いた。

--123ページ目、上記の笑う事ないと言ったジェットに桃缶を渡すヴァー
(ジェットのうんざりカウントその18)



 馬までは連れて行けそうにないということで、ヴァージニアたちは最低限の荷物を残し、それ以外の物を 油紙に包んで荒野に埋め、馬を放つことにする。身軽になった馬たちは、獲物と狙う魔獣から易々と逃れる足や、 僅かな草や水場のありかを嗅ぎ取る鼻を持っているけれど、この荷物や馬を、彼女たちが帰りに回収できるかどうかは運しだい。

--142ページ目、ユグドラシルに入る前の準備にて
(ゲームだとあまり気にする事はない持ち物所持数制限を、旅の苦労として描写されている)



「うんざりだぜ」
 そう言いつつも、他に代案もなく、ジェットは腰のベルトにロープを結びつけて、流砂のプールの中を動き回っている 仕掛けのてっぺんへと飛び降り、それが沈みこむ前に、次の仕掛けへと飛び移る。

--149ページ目、遺跡の仕掛けで苦労するジェット
(ジェットのうんざりカウントその19。ユグドラシルへ向かっているのでニーズヘッグパスを進んでるはずだが、なぜか描写はサンドキャナルっぽい)



「うんざりだぜ」
 ここ数日間続くトンネルの旅は、ジェットならずともヴァージニアたちをうんざりさせているらしい。 単純なミスが頻発し、些細なことでも言い争いがはじまる。このときも、何度目かの言い争いがはじまりそうになる。

--151ページ目、ニーズヘッグパス?にて
(ジェットのうんざりカウントその20。砂まみれになりながら仕掛けを突破し、ランタンの灯まで消えてギスギス)



「あぁ、お前さんのヴァージニアスペシャルブレンドコーヒーをヒントに、お前さんのカレーにはヒールベリーを 煎じ込んでみた。ギャロウズスペシャルスパイスカレーだ。残すなよ。おかわりも沢山あるからな」

--162ページ目、グリーンロッジにて
(ヒールベリーはベリーだけどあまり美味しくない模様)



「その姿で出歩けば、炎に集まる羽虫のように男が群がり、甘い言葉を競って囁き、さぞ貴女は浮かれたことでしょう。 しかしそれで貴女は、かけがえのない恋人を手に入れましたか?あるいは心を許せる友人や、信頼できる 仲間を手に入れましたか?」

「そうではありませんね。あなたの女としての身体を求める者はいても、あなたの魂を求める者はいなかったのですよ。 いかに整った器であろうとも、その魂が醜ければ、存在が美しく輝くことなどありはしない。 自らの姿形しかその瞳に映さぬ貴女を、自らしか愛さぬ貴女を、誰が求めるというんです?

--172ページ目、ユグドラシルにて
(本編に負けず劣らすミレディをボロクソに貶すクライヴさん)



「あ、いや、まあ、挑発して冷静な判断力を削ぐつもりではあったんですが、つい学生時代に戻ってしまい大人げないことを 言ってしまいました」
 ヴァージニアとギャロウズが、顔を見合わせる。
「クライヴ、昔はあんな事言ってたんだ」
「ガキのころに出会いたくないタイプだな」
 突然彼は、これ以上にないほど情けない顔で仲間たちに懇願する。
すみません。今のことは妻には内密にお願いします。結婚を申し込んだとき、これだけは誰に対しても 二度としないと、妻に誓わされたんです」
 ヴァージニアとギャロウズは、再び顔を見合わせる。
「こりゃ相当やってたな」
「みたいだね」
 ジェットは何も言わなかったけれど、眉間の縦皺をひどく深くしていた。

--173ページ目、上記の後の釈明
(『誓わされた』ってのがちょっと怖いクライブさん。彼の同期に想い出話を聞きたくなるね)



「てめえ幾つだ!いい大人したその外見より、さらに十は歳を喰ってやがるくせに、何がマーマだ! 眠れる魂を呼び起こし死者を冒涜するつもりか!自分の由が大事なら、ガキでも育てて未来に繋ぎやがれ! 大体世間のお袋ってもんは、孫の顔を見たがると決まってるんだ!墓からたたき起こされたお袋さんが、 いい歳こいてマザコンやってる息子の姿を見て、喜ぶわけないだろう!」
「マーマに墓なんてない!誰もマーマのために墓穴すら掘ってくれなかった!マーマの身体を、村外れに放り出したんだ! ボクはマーマを埋めようとしたけど、魔獣がマーマをボクから奪った!ボクに残されたのは、マーマの指の骨だけだった! ボクの大切なマーマ!マーマが愛するのはボクだけさ。マーマよりも僕を愛してくれる女なんているはずがない! 知りもしないでマーマを侮辱するな!

--176ページ目、ユグドラシルにてマリクとギャロウズ
(埋葬することもなく遺体放り出すのはヒデェと思いつつマザコンぷりには噴く。このあとギャロウズにつかみかかるも普通に 張り倒され泣きながら姿を消すマリクには何とも…)



 私は私の夢を、かならず実現してみせる。
 私が目覚めを手に入れた時、今ある現実は夢となる。
 その時私が何者なのか、私が思い出せるように、私はこうして今を綴る。

 いつか、私の想い出になる物語……。

--221ページ目、エピローグにて
(WA3のキャッチコピーを使ってみるお茶目な夢魔ベアトリーチェさん。『きっと』が足りないから野望はうまくいかなかったのだろう)




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