小説版1巻
なぜなら彼女が夢見た渡り鳥は、困っている人々の前に現れて、困難を解決して去っていく、物語に登場する、正義の味方にすぎなかったから。
けれど女は、いずれ夢と現実の折り合いをつけてしまうもの。
目の前に破滅を突きつけられてもなお目が覚めないほどに、夢と現実の見境をなくしてしまうのは、むしろ男の方ではないかしら?
--5ページ目、ヴァージニアの説明にて
「名のらないなら、不便だから、シロちゃんって呼ぶよ」
--16ページ目、自己紹介の場面にて
(割とジェットを下に見るヴァーの始まり)
「はい。四は世界を表すのに適した数です。一は世界。二は天地、善悪。三は過去現在未来、動物植物生物、見る聞く話す。そして
四は東西南北、前後左右、喜怒哀楽、そして地水火風。ヒトにとってそれ未満では足らず、それ以上では多すぎます。
ですから、ヒトに与えられたアークセプターも四つなのです。」
ギャロウズは、大げさに両手を広げて天を仰ぐ。
「俺にはもうわからねぇ。世界が東西南北しかないなら、南東や北北西の立場はどうなる?
俺の今の気持ちを、喜怒哀楽だけで言い表せるってのか?」
楽しそうにシェーンがクスクス笑う。
--20ページ目、ファルガイアの理について話すシェーンとそれを受けるギャロウズ
(真面目な弟と陽気な兄の対比)
「おいおい、確かに俺はちょっと考えこんでいたが、落ち込んでるだなんて大声でいいふらすなよ。それに『さん』はやめてくれ」
「すみません。でも、自分で決めたことなのに運命で決められたみたいに感じて、ギャロウズさん落ち込んでたんですね」
年上で先輩格の渡り鳥を呼び捨てにするのは、ヴァージニアには難しいことなのか、でなければヒトの話を聞いてないとかもありそうだけれど。
--32ページ目、神殿にてギャロウズとヴァージニア
(ギャロウズにさん付け敬語対応するヴァージニアが面白い。当初はクライヴやマヤに対してですらさん付けする小説ヴァー。
なおジェットは容姿のせいで弟くらいにしか見られておらず初対面からため口対応という差)
「うんざりだぜ」
盛り上がり始めたところに、ジェットがいきなり水を差す。
「運命や絆ってやつが、メシを喰わせてくれるわけじゃあるまいし、チンタラチンタラとうんざりだ。俺一人で受けられる仕事があるなら、
俺は一人でやる。その方が気楽だし、報酬を分け合う必要もない」
--33ページ目、神殿にて
(ヴァージニアの言葉にやや元気になったギャロウズにジェットが一言。うんざりカウント1と2。)
「お前ら、まだツルンでたのか?」
白髪の少年は、無表情のまま三人を眺めるが、あまり感慨はないらしい。ギャロウズとクライヴが、
ヴァージニアという頑張り屋の雛鳥に保護欲を掻き立てられ、付合いを面白がっていることぐらい、
ジェットにもわかっている。わかっていないのは、たぶんヴァージニアだけじゃないかしら。
--58ページ目、ジョリーロジャーにて
(チームの勧誘をされるジェット。パーティを組む理由がなりゆきな所はゲーム本編と変わらず)
「なんで俺まで子守りに付き合わせる」
「一人前になるか、家に帰るか、どっちへ転ぶとしても、そんなに長くはかからんさ。
少しばかりあの子の渡り鳥ゴッコにつきあうのも面白そうだ。かといって中途半端に
首を突っ込むのは、危険なだけだからな」
--62ページ目、ジェイナスと組むことにしたヴァージニアを横目にジェットとギャロウズのこそこそ話
(ギャロウズですらヴァージニアを渡り鳥ゴッコと評しているのは印象深い)
「餌づけするつもりか?あの白毛のガキにしたみてーによ。俺たちゃ食い物よりも、そのスカートの中身の方がいいな。
もう一歩俺に近づいて、中ぁ見せてくれよ」
--72ページ目、カ・ディンギルへ向かう荒野にてジェイナスの台詞
(珍しい下衆な台詞。でも実際のスカートの中身は暗黒であるが。
なお小説ではジョリーロジャーで組んだジェイナスと最初に向かうのがカ・ディンギルというスピーディー展開。
また道中何日もかけて目的地へ苦労して向かう描写がみられるのも特徴。
この台詞もキャンプ中に、一行から離れて何も食わず寝ているカスケード興産にご飯くらい食べろとヴァーが近づいた時のもの)
「俺は誰にも餌づけされない。だから安心していくらでもよこせ」
--73ページ目、カ・ディンギルへ向かう荒野にてジェットの台詞
(この餌づけとは、直前の港でとった食事でヴァージニアから貰ったモモ缶の一切れの事
ジェットは真面目に言っているがヴァーからは冗談と受け止められ不機嫌になる)
恐る恐るエレベーターの床から身を乗り出したヴァージニアたちは、遥か下まで床が抜け、一本の筒となりはてた
カ・ディンギルの内側を、上から覗き込んでいた。
--132ページ目、カ・ディンギル頂上にて
(ジェイナスがグラムザンバーを呼び出した余波で崩れてしまう。本編よりも崩壊が激しく一行は外壁を伝って降りる羽目に)
「まったく、こんだけ大騒ぎして稼ぎは四人で1ギミルもなしかよ。うんざりだ。町へ戻ったら次の仕事を探さなきゃならねぇんだ。
さっさと喰っちまってくれ」
--136ページ目、カ・ディンギル脱出後の朝食にて
(ジェットのうんざりカウントその3)
「俺、が悪いんじゃ、ねぇ。ダリオ、とロメロ、のヤツが……ドジ踏みやがって」
女が蔑みの目でジェイナスを見下ろす。
「美しくないわ。全てにおいて醜い男。この期に及んでヘタなウソで言い逃れようとは」
「ほ、本当だ!こっちは三人、相手は、は、八人だったんだ!い、いや、一匹は、喋る魔獣、だったがよ」
--137ページ目、カ・ディンギルにてミレディと瀕死のジェイナス
(ジェイナスのかなり情けない台詞)
「そうだ!一つ思い出したぞ!ものすごい別嬪さんだ!!」
「は?」と、ヴァージニアが間の抜けた声を上げる。
「別嬪さん!美女だよ美女!すこぶる付きの絶世の美女!一番奥にある祭壇に、この世のものとは思えないほどの美人画があった!」
「そりゃあもう不思議な雰囲気の別嬪さんで、優しげな笑顔にたおやかな物腰、しかも儚げな内に芯の強さも兼ね備え、
しかも色っぽい。思えばあれが俺の初恋だった。ところがクソババァが、言うにことかいて『ワシの若いころにそっくり』なんぞと抜かしやがって…」
--149ページ目、守護獣を祭る神殿の事を思い出して
(ギャロウズの美しい思い出。小町のハルさんにはノーコメントで)
「駅からは徒歩で十日間ということと、おおざっぱな方角しかわからない僕たちより、場所を知っていて
騙すつもりの彼女の方が、より早く神殿の近くに連れていってくれると思ったんですよ。彼女の行きたがらない方角さえ、
覚えておけばいいんですから」
クライヴが、人当たりのよい笑顔のままで、さらりとしたたかなことを言ってのけるので、ギャロウズは、
そして関心なさそうに会話を聞いていたジェットも、少しばかり凍りついていた。
--178ページ目、光の神殿でミレディに苦労させられた後
「うんざりだぜ。話にならねぇ」
--181ページ目、これから神殿探しをしようと言い出すものの場所は憶えていないというギャロウズに対して
(ジェットのうんざりカウントその4。この後例によってヴァージニアが絡む)
ヴァージニアは、笑顔を取り戻すけれど、ちょっと無理をしているみたい。
「そうだよね。でもなんだか、運命の糸がからまっているような気がするんだ」
今度はギャロウズの方が真顔になる。
「俺もだ。しかし、絆は自分で結ぶもの、だろ?からまったんなら、自分でほどけばいいさ」
--201ページ目、レイライン観測所にて父親のうつる写真をみつけて
(ギャロウズの陽気さがいい)
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