アーメンガード
-----12月1日
「12月1日、今日は願いの日~。
「どんな願いも叶えるという魔法の品の話を聞くたび、
何故願いを叶えてくれる回数を増やさないのか
疑問に思うものだな?
「そう思っているのなら、わたしの話を聞いてくれ。
この間、カレンダーから飛び出てきた妖精に、
願いを叶えてやろうと言われたのでこれ幸いと…
「『叶えてくれる願いを5回にしてください』
と願ってみたら、彼女は
『OK…!じゃあ、あなたの願いはそれね』
「と消えてしまったのだ…
…おそらく、次の彼女を呼び出した人は
5回願いを叶えてもらえるのだろうな…
-----12月2日
「12月2日、今日は米印の日~。
「米印を発明した人にちなみ、米印祭りが行われる。
※に似たあざやかなほくろを持つ人間を神とし
彼、または彼女が振りまくお米を競って浴びるのだ。
「そして持ち帰ったお米に、
年の数だけ米印を書いて炊く…
真っ黒に炊けた米は、イカ墨リゾットぽくて旨い。
-----12月3日
「12月3日、今日はムァ・ガルトの日~。
「ムァ・ガルトを殺したり、
鳴かせてみせたり鳴くまで待ったりすると
偉い人になれるという言い伝えがある。
「しかしそれはムァ・ガルトの怨念なので、
成功しても死後、
彼の炎で永遠に焼かれることになるのだ…
「ムァ・ガルトは鳥頭ではなかったのかと
驚く若いわたしであった。
-----12月4日
「今日は12月4日、イメージトレーニングの日~。
「お昼、眠くなったので、好きなマンガを思い出し、
足に刃をつきたてるイメージで目を覚まそうとした。
だが全然駄目だった。
「しょうがないなあとランチのスープを
飲んでいたら手が滑り、
先程刃を立てたイメージの場所に垂れてしまった。
「これは深層心理のなせる技か、
それともただの偶然か…?
-----12月5日
「12月5日、今日はヒレの日。
「家畜の肉のヒレ部分は、
背骨に添った一部位である。
「この理論でいくならば、
カステラのヒレは、
紙にくっついたカラメル味の場所である。
-----12月6日
「12月6日、今日は赤い夕日の日~。
「赤い夕日は太陽のガーディアンが殺されて
血の色に染まった証…
そして彼は眠りを経て、翌朝二度よみがえる…
「そういう神話を聞いたことがあるが、
何度も死ぬのは嫌な気分だろうな…
-----12月7日
「12月7日、今日はトランプの日~。
「トランプカードを凶器とする
美しい女暗殺者(アサシン)がいた…
「大人気だった彼女、だったがしかし、
人気ゆえにストーカーが出てしまい、
最低のバッドエンド【正体バレ】を起こしてしまう。
「そして捕まり吊るされた彼女を悼むため、
ファンクラブの手によって
今日はトランプの日とされたのだ。
-----12月8日
「12月8日、今日はレスラーの日~。
「手首の中に入っている、小さなレスラー。
そのレスラーが重量挙げをしていたり、
鼻くそをほじったりしているので、
「わたしたちは鉛筆をもったり、
アームを扱ったりできるというわけだ。
だから今日は、彼に感謝を捧げる日。
「ちなみにメカは、メカレスラーが入っている。
ラムネに入っているビーだまのように
上手く取れればクラスのアイドルだ。
-----12月9日
「今日は12月9日、かゆみの日。
「バスカーの大神官でも、
かゆみには勝てないらしいな。
「それゆえ、かゆみ>バスカーの大神官>我々凡人
という図式が成り立ち、かゆみは
生物ピラミッドの頂点に位置することとなる。
-----12月10日
「12月10日、今日は羞恥心の日~。
「己の最も恥ずかしいと思うことを、
思いっきりやっても構わない、
俗に言うところのマニア向けの日。
「ちなみにわたしのもっとも恥ずかしいこととは、
登場キャラに手紙を書くスタイルの
読書感想文を書くことなのだ。
-----12月11日
「今日は12月11日、
タンゴの日~。
「二拍子の音楽に乗り、踊る日であるが…
わたしはタンゴの節句と、
よく取り違えてしまいがちだ。
-----12月12日
「12月12日、今日は花に水をやる日~。
「こんな日があるから、
普段水をやらないお父さんが
張り切って水をやってみる。
「そして根ぐされが起きる、というコンボに繋がる。
この日を制定したのはきっと、
花の嫌いな人の陰謀に違いない…
-----12月13日
「今日は12月13日、農業の日~。
「農業を営む人のお陰で、
美味しいご飯が食べられるのだ。
「そして、農業を営む人は、
田畑を耕す心地良い疲れのお陰で、
美味しいご飯が食べられるのだ。
-----12月14日
「今日は12月14日、ダンボールの日~。
「ダンボールで作った家は、
暖かいので暖房ホールと呼ばれる。
ダンボールの語源もここかららしい。
-----12月15日
「12月15日、今日は肉の缶詰の日~。
「肉を缶詰にしようと思った人は偉いな。
「だってわたしだったら、肉なんて贅沢品…
失敗したらもったいないと思ってしまって、
結局普通に調理してしまいそうだ。
-----12月16日
「12月16日、今日はメレンゲの日~。
「黄味と白身では白身の方が美味しいな。
黄味(きみ)は完璧というラブソングは、
黄味(キミ)がすべてと今こそ誓ったりしているが…
「自分に言い聞かせねばならぬ人間の切なさを
思い知ってしまうのみだな…
-----12月17日
「今日は12月17日、カレーの日~。
「カレーは不思議な食べ物だ。
たまに、無性に食べたくなる時期がくる。
あなたにも覚えがあるだろう?
「あの強烈な衝動の正体を、
わたしはカレーのうねりと名づけた。
「それは全ての人間の中に蒔かれた種子…
カレーへの欲望を煽り立て、
ヒトにスプーンを握らせるモノだ。
-----12月18日
「今日は12月18日、ハードボイルドの日~。
「すなわち、固ゆでの日だ。
しかし固ゆで卵が、なぜタフで色気のあるイイ男が
エライ目にあう小説と関係あるのだろう?
「1.固ゆで卵のぷにぷに感が、色気ある肌のあかし
2.ゆで卵を一口で飲みこめる蛇っぽさ
ってカンジなのだろうか?
-----12月19日
「今日は12月19日、コミックの日~。
「コミックとは、ポンチェという名の
粋でいなせな娘さんが発明した。
シニカルでパンチの効いた状況説明つきの絵のことだ。
「ちなみに彼女のデビュー作は、
一人のモスマンが主人公の
【モスマンガ】だ。
-----12月20日
「12月20日、今日はおリボンの日~。
「ミラーマという町にいた
美しいウェイトレスが、
貸していたリボンを返してもらった日…
「即ち、『おリボンに約束ですよ』というのが、
ウソついたら針千本飲ます、という言葉の
雅語となった日だ。
-----12月21日
「今日は12月21日、テトラポッドの日~。
「砂の侵入を防ぐためのテトラポッドには、
無数の恋人同士の相合傘が書かれているな。
それを見るたび、人の歴史に思いを馳せるわたしだ。
「…と、ひたったところで、
ニールとパットナムの
名前でも書いておくか~
-----12月22日
「今日は12月22日、
今年のファルガイアは、今日が冬至。
「もっとも日が短くなる日だ。
日が短くなるといっても、
一日(いちんち)が24時間でなくなるというわけではない。
「子供の頃に、良くある勘違いの一つだと、
わたしは思っているのですがどうか。
-----12月23日
「12月23日、今日は踏み切りの日~。
「踏み切りに人格があったら、
毎日毎日自分は踏まれ切られていると
考えていたりするのだろうか?
「サウスファーム駅の近くにもあるので、
今度聞いてみようと思う。
-----12月24日
「12月24日、今日は夢枕の日~。
「今年一年の行いが正しいと、
夢枕に女神様が舞い下りて
思い通りの夢を見せてくれる日だ。
「それでようやく気がついたのだが…
「女神様がいつも、ヒラヒラしたものを着てるのは、
人間の目の前で振って催眠術にかけるための
振り子代わりにするためなのだろうな。
-----12月25日
「12月25日、
今日はてぶくろの日。
「てぶくろの日だから、
てぶくろを反対から読め、などと
ありがちな事は言わない…
「靴下だけをはいている絵と、
てぶくろだけをはめている絵とでは、
どちらが鼓動が高鳴るか、考えてみてくれ。
「例としては、
靴下だけを穿いている犬猫を、
思い浮かべるといいだろう。
-----12月26日
「今日は12月26日、ボクシングディ。
「殴り合いをする日でも、
牧師さんの現在進行形でもない。
箱に入ったものを送りあう日なのだ。
「今年の流行りはビックリ箱。
あまりに古典的で
かえって新感覚なのだそうだ。
-----12月27日
「今日は12月27日、
惰眠をむさぼる日~。
「眠りという文字は、
カタチ自体、
なんだかねむそうに見えるな。
「何(ナニ)?そんな事はないですと?
「ならば、目を椅子の背もたれ部分、
民を人が体操座りしているところと
見立ててみてくれ。
「…ね?
こういうポーズでうたた寝した事、
ありませんか?
-----12月28日
「12月28日、今日は光の日~。
「光の中に消えていくというのは、
英雄譚のよくあるエンディングだな。
「普通にフトンの上で死ねないなんて、
英雄と言うものは
まっこと因果な商売だな…
-----12月29日
「12月29日、今日は燻製ハムの日~。
「燻製ハムを食みすぎると肉がはみ出す。
それはエネルギー保存の法則による、
避けようのない真理…
「だがそんな真理なんて大嫌いだ!!
ハムによりぐれた少女の物語が語られる日。
-----12月30日
「12月30日、今日は人好きの日~。
「心の臓を人好きというのは
一目ぼれをあらわす
古くからの言い回しらしいな…
「だから今日は
運命の人を探し、
そこここを歩いてみようと思う。
-----12月31日
「今日は12月31日、ニューイヤーイブ。
「明日から新しい年、というのは気分が浮き立つ。
ちょっと難だった今年はおいといて、
来年になったら頑張ろうという気分のせいか?
「そう考えると、
この日は一年で最も堕落した考えを持つ人の量が
最大になる恐ろしい日だとも言える…
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